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2ビットも多ビット?

このワークシートはMath by Codeの一部です。

1.多ビットは2ビットから

1ビットが2値ならば、2ビットなら2の2乗の場合の数、nビットなら2のn乗の場合がある。 これは古典論理の話しだ。 古典論理では重ね合わせ状態が、事実としてではなく、計算上の期待値としてあるだけだった。 しかし、 量子論理では、重ね合わせ状態は事実上存在して、よろめいている波であり、別にファジー集合ではなかった。だからこそ、重ね合わせは波と同様に干渉があるから、ピタッと確定する状態だってあり得た。 さて、このよろめくqビットが2つ以上あると、重ね合わせはどうなるかを考えてみよう。 <2ビットの基底> 2次元のqビットが2つあると、それぞれに基底|0)、|1)があり、それぞれに係数があるでしょう。 2ビットを順にp、qとし、その2次元の係数を(a,b)(c,d)としてみよう。 なんのことはない。 2ピットの基底は古典論理と同様に2の2乗の組み合わせ、|00),|01),|10),|11)の4通りがある。 ではそれぞれに対する係数はどうなるだろうか。 これはデカルト積、直積と同じだ。 (a,b)×(c,d)=(a×(c,d).b×(c,d))=(ac, ad, bc, bd)となるね。 ベクトルの1次結合でかいてみよう。 (a|0)+b|1))*(c|0)+d|1)) =a|0)(c|0)+d|1))+b|1)(c|0)+d|1)) =a|0)c|0)+a|0)d|1)+b|1)c|0)+b|1)d|1)=ac|0)|0)+ad|0)|1)+bc|1)|0)+bd|1)|1) =ac|00)+ad|01)+bc|10)+bd|11) <状態の積はテンソル積> さっきの式をあえて一般的にかくとどうなるだろうか。 線形結合のことを簡単に和と呼ぶことにすると、 (a|0)+b|1))*(c|0)+d|1))は和の積だ。 ac|00)+ad|01)+bc|10)+bd|11)は係数の積の和になっている。 だから、これは、和の積=積の和といってよいでしょう。 これってどこかで見聞きしたことはありませんか。 一般相対性理論の準備をするときに、テンソル積をやったね。 あれと同じですね。 ピットの状態Qがn個あると、この多ビットの状態は Q1⊗Q2⊗…⊗Qnとかけるということだ。 とりあえず、2ビットで多次元の状態の積を数式にしてみよう。 φビットは、値の状態の集合Σに属する基底|a)の係数を αaとする。 ψビットは、値の状態の集合Γに属する基底|b)の係数を βbとする。 つまり、 |φ) = ∑a∈Σ αa|a) |ψ) = ∑b∈Γ βb|b) とするとき、 この2つのビットの直積は、 |φ) ⊗ |ψ) = ∑(a,b)∈Σ×Γ αaβb |ab) 惚れ惚れしますね。この数式!! みかけは見慣れない人からはすごそうにみえるけれど、 小学・中学で学ぶ場合の数の積の法則や 高校・大学で学ぶ直積集合というものを知っていれば カンタンだ。 なにしろ、一般相対性理論のときのような軸をつぶしたり、 内積を計算して、次元を下げたりもない。 添え字の上下もない。共変ベクトルも反変ベクトルもない。 超単純なあらゆる可能性を並べただけだ。 単純明快だね。 さっきから、そうしてるけれど、 さりげなく、 |a) ⊗ |b) = |a)|b) = |ab) 「基底のテンソル積は、積の基底」という式を使っているので注意しよう。 また、これは係数はベクトルではないから、どんどん外に出せるから、 ⊗の線形性が成り立つのは自明だね。 つまり、テンソル積を分配できる。 |φ) ⊗ (|ψ1) + |ψ2)) = |φ) ⊗ |ψ1) + |φ⟩ ⊗ |ψ2) |φ) ⊗ (α|ψ)) = α(|φ) ⊗ |ψ))

2.量子のもつれとは?

よく量子のもつれとか、 エンタングルという言葉を聞くことがある。 これって何だろう。 さっきのテンソル積、直積と深い関係があるのです。 <積の反対は分解> テンソル積は結局は、カッコをはずす式の展開とかわらなかった。 式の展開の反対は、共通因数をみつけて、因数分解することだね。 ac|00)+ad|01)+bc|10)+bd|11) このような2ビットの重ね合わせ状態があるとしよう。 ac|00)とad|01)の共通点はax|0y)だ。 a|0)c|0)とa|0)d|1)にそれぞれ分解できることに気づくと a|0)(c|0)+d|1))の分解が見えてくる。 共通因数(c|0)+d|1))が残り2項にもあるから、 (a|0)+b|1))*(c|0)+d|1)) このように2qビット状態=1qビット状態の積と因数分解できた。 <因数分解できれば、もつれていない> 2qビット状態はいつでも1qビット状態の積に戻せるのでしょうか。 |Q)=|01)+|10) これは、基底から2qビットの状態だとわかる。 でも、|01)+|10)=|0)⊗|1)+|1)⊗|0)と戻したところで、これで終わる。 ベクトル行列の積は一般に可換ではないし、 ビットの個性を無視してまで、|0)⊗|1)+|1)⊗|0)=2|0)|1)などとしても、 もとの2つのビットの状態は不明なままだ。 このように、もとの1qビット状態の積に分解できない状態のことを エンタングル、量子のもつれ、からまりという。 どっちがどっちかもわからなくなる。 これはたとえではなく、本当にそうなのだ。 つまり、2qビットの状態は数式があるのだから、2ビット基底に対する確率の波もわかる。 しかし、1個ずつの1qビットにまで分解して、その重なり状態についてはわからない。 識別不可能ということだ。 <もつれの証明> |01)+|10)が量子もつれであることは自明だったけど、もちろん証明はできる。 テンソル積の結果を係数だけならべた式(a,b)(c,d)=(ac,ad,bc,bd)を使おう。 ac=bd=0 ad=bc=1となる。 第1式から、a=0またはc=0で、b=0またはd=0 これから、(a=0 ^ b=0) or (a=0 ^ d=0) or (c=0 ^ b=0) or (c=0 ^ d=0) 第2式から、この4つのケースのうち、ad=0,bc=0となるケースは消える。 残るのはa=b=0か、c=d=0となる。ということは、2ビットのうちの1つは存在しない。 係数のノルムが1になる以前の結果になる。 もつれの面白さを先延ばしにしよう 量子もつれはベル状態とか量子テレポーテーションとか 話題性のあるトピックにつながるでしょうが、 これは回路と測定について学んだあとの方が面白みがわかるかもしれません。 といことで、もつれについてはこのくらいにしておきます。 むしろ、平等につながる要素たちの作る数式の美しさを味わっておこう。 課題:テンソル積を使って行列の積が均等につながる美を表すにはどうしたらよいですか。 たとえば、geogebraのCASを使います。 行1にa0+a1 行2にb0+b1 行3にc0+c1 と入れて、 行4にexpand((a0+a1)(b0+b1)) 行5にexpand((a0+a1)(b0+b1)(c0+c1)) 行4でaとbが対等に0と1が対照的に配置されます。 行5でaとbとcが対等に0と1が対照的に配置されます。 平面的ですが、これでも、係数の平等性が生み出すテンソル積、直積の作る数式を見ることができますね。

係数の平等な関係性がつくる対称と対照を感じよう

3.観測すると状態も確率もかわる

測定は、古典的素朴実在論では 測定対象に何も影響しない、世界は変わらない、 というイメージがあるでしょう。 しかし、そうではありません。 条件付き確率やベイズ統計を学んだ人ならば わかるでしょう。 <2qビット状態が1qビットの測定で変わる> 1qビットXと1qビットYの2つが作る状態Q=(X,Y)があるとしよう。 |Q) = 1/√2 |00) +1/2 |01) + i /(2√2) |10) − 1/(2√2)|11) XもYも独立してよろめいている。 ここで、もしXを観測して、X=0が観測されたとしよう。 さあ、因数分解の出番だ。 |Q) = |0)⊗(1/√2 |0) +1/2 |1)) +|1)⊗( i /(2√2) |0) − 1/(2√2)|1)) Xの基底|1)の係数が0となるから、まるごと消える。 |Q) ∝ |0)⊗(1/√2 |0) +1/2 |1)) ここで、∝にしたのはわけがある。 そうです。状態ベクトルは正規化しないとルール違反になるからです。 Xの基底|1)の係数のノルムの2乗は(1/√2)^2+(1/2)^2=1/2+1/4=3/4 だから、|Q)を正規化するには、|0)⊗(1/√2 |0) +1/2 |1)) をノルムsqrt(3/4)で割ってあげればよいね。 |Q) =|0)⊗(1/√2 |0) +1/2 |1)) /(√3/2) =|0)⊗(2/√6 |0) +1/√3 |1)) ただの計算問題にみえるけれど、 2qビットの状態Q=(X,Y)が、1qビットXの観測によって変わった。 私たちがやったのは 「全体の状態 Q=(X,Y) のうち、1qビットの X を観測しただけで、 まだ触ってもいないはずの相方 Yのよろめき方(係数)までをも強制的に書き換えてしまった」 ということです。 測定で世界を変えられる。 なんだかワクワクしてくるね。